Nさんが入院したのは、4月17日だった。
その前日、中学生になったばかりのNさんの娘Hちゃんが、学校帰りに私宅に立ち寄った。
Hちゃんは保育所のころから、幼なじみのYちゃんといっしょにウチに英語を習いに来ていた。
素直で子ども心を持ち続けているこの二人。中学校の制服姿を見せに来てくれたのだ。
「お母さん、その後変わりない? 前に会ったとき、別の病院へ行くって言ってたよね」
実は、NさんとHちゃんは、3月24日にウチに立ち寄ってくれていた。その時のやせ方は前と変わらないように見えたが、肌がかさついていたのが気になった。
「お母さん、明日入院する。」とHちゃん。
その瞬間、嫌な予感がした。予感というよりは、現実にありそうな、悪い状況が頭を駆け巡った。
「入院。。。」
次の言葉が出てこない。頭の中で、いやな憶測を消そうとした。そんなことを考える自分がいやだった。
少しの沈黙。Hちゃんと目が合ったそのとき、
「ガンやっていってた」
「え!!」
Yちゃんと私は思わず目を見合わせて、絶句した。
予感は現実となって、Hちゃんの口から突き付けられたのだ。本人からではなく、その娘からいとも軽く。
Yちゃんの目にうっすらと涙が光っている。
「それって、、、、、、、 お母さんのことなん?! 誰かの間違いじゃないん」
知らない方が良い、聞かなかったことにしておくと、Hちゃんに言った。
その夜、私はNさんにラインを入れた。
ー入院するって聞いたけど、本当ですか。もし本当なら、一日も早い回復を祈っています。
Nさんからの返事は、がんばって治療してくるという絵文字入りのいつもと変わらない様子のメールだった。
私は入院先も、病名も聞かなかった。彼女からも何も言わなかった。
それが答えだ。
「退院したら、体調の良い時にランチおつきあいください」とNさん。
―待ってます!!
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